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2006.07.05

コナラとクヌギについて

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昨年秋に拾ってきたドングリを育てていて、今かなり大きくなっている。ここでひとまず、コナラとクヌギの発根から発芽、葉の様子などについてまとめてみたい。(クヌギアベマキあるいはクリなどの非常に良く似たもの同士を比較できればより面白いのであろうが、うちにはコナラとクヌギしかないのでご勘弁)

1.発根の時期

コナラは秋に地面に落ちたときからすでに発根が始まっている。ドングリの尖った方から白い根が顔を出しているものが多かった。なるべくそういう元気のよさそうなものを拾ってきた。二晩ほどバケツの水につけて、産みこまれたコナラシギゾウムシだかなんだかの卵か幼虫を窒息させてからトロ箱などに植えると、そのまま直ぐに根が伸びて地面に固着した。そして冬を越した。 クヌギの発根は春になってから(もちろん、拾ってきてニ晩水につけた)。まったく落ちたときのままの姿で冬を越し、温かくなってからおもむろに発根する。コナラと同じようにドングリの尖った方から白い根が顔を出し、地面にもぐりこむ。冬の間の乾燥には比較的強いようだ。なぜなら根を出さなかったためもうだめかと諦めていて特に保湿を心がけなかったのにちゃんと発根したからだ。しかし、土に半分程度埋めるなどしておいた方がより発根率は良かったのかも知れない。

2.発芽の様子

コナラは純白の芽をぐぐっと伸ばし、やがてある高さまで来ると伸びを止める。そして、白い毛に包まれた小さな葉を広げる。葉が広がるにつれ白は消えて行きやがて緑色の葉になる。葉は幹(と言うほどではまったくないが)の一箇所から輪になって3枚、4枚あるいは5枚つく。いわゆる輪生のような状態となる。葉が十分育つと色も濃くなり、いっちょまえのコナラの葉になる。葉が全部広がるとしばし動きを止めたかに見える。だが、やがて先端部に次の葉の芽が出来てくる。時間をかけて芽が充実するとこれがそれぞれに伸び始める。葉と主幹と枝である。葉は小さなもの。枝からも小さな葉が出来る。主幹はひとしきり伸びるとその先端の葉がだんだん広がって行く。このようにコナラは伸びては止まり葉を広げるという段階的な成長をしてゆく。したがってこれを一段目とか二段目とか言うようだ。

クヌギは淡い緑色の芽を伸ばす。コナラのような純白ではない。その芽は先端に葉が集まっているのではなく途中途中に葉の芽を持って伸びてくる。そして伸びながら葉も大きくなって行く。コナラのように一旦伸びが止まってから葉が広がるというのではなく全体に伸びながら途中の葉も広がって行くという連続的な育ち方をする。また葉は幹の一箇所から輪になって出るのではなく互い違いに離れてついている。いわゆる互生のような状態である。枝は葉の付け根から出るのであるが、完全に広がった葉から徐々に枝芽が充実してゆくようであり、枝が伸びてくるのは後まわしのようである。だからクヌギは一目散に主幹を伸ばして行く。そして葉は下のほうからだんだんと完成してゆく。

3.葉の質感

コナラの葉は最初は純白の毛に覆われた美しいものだが、だんだん普通の緑色の葉になってゆく。そしてパサパサで頑丈な葉になる。緑色は濃く、だが主脈は淡色で特に根元側で黄色味が強い。また葉の裏側には当初目立っていた毛が残っていて、裏全面に小さな毛がびっしり生えている。手触りでそれを感じることができる。だから表はゴワゴワ、裏はやや手触りが良い。 クヌギはコナラに比べるとそれほどゴツイ感じがしない。やや葉も薄く、特に完全に広がってない葉ではへなへな感が強い。また毛はほとんど無い。主脈は表側と裏側の両方に盛り上がっていて光の加減ではくっきりと浮き上がって見える。コナラの主脈は表側にはほとんど盛り上がっていないので、特に根元側を触ってみれば違いを感じ取ることが出来る。また主脈から葉の縁に伸びる側脈は裏側に盛り上がっている。これも同じように光の加減で葉の裏側に側脈がくっきりと見える。また側脈の間隔がコナラに比べてやや狭くまた、そろって見えるので平行感が強い。

4.葉の形

コナラの葉は根元側が細く先に近いあたりでもっとも太い、先太の菱形で全体に鋸歯がある。クヌギは根元側の細さがコナラほどではなく先の太さもコナラほどではなく、一様に細めである。また同じように鋸歯がある。コナラの葉は主脈部分ではフラットであるが、縁が上下に波うっている。これに対してクヌギでは側脈の間が表側にやや膨らんでいるものが多く、特に幼葉ではその傾向が強い。したがって側脈にそって葉は表側に波うち、側脈自体は裏側にふくらんでいるので、側脈が強調された感じがする。だが、たくさんある葉を一枚一枚見てゆくと、特に生長中の葉などでは形だけではコナラかクヌギか見分けがつかないこともある。ここで3で述べた主脈裏の毛での判別が有効となる。

5.その他

コナラは冬の間に根が伸び、いつのまにかドングリの殻は割れているものが多かったが、クヌギの方はドングリの殻が割れたものはまだ無い。冬の乾燥から身を守るためには割れるわけにはいかないのだろう。

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コメント

こんなにワサワサと葉っぱが出るんですね。
グリーンというと観葉植物ばかりで
熱帯のわけ解らない名前のものが一杯ありますが(笑)
ドングリから育ててみるという発想がいいですね。
この幼い緑が成長し森を作ってきたんですね。

いつもながらの観察力で文章もわかりやすく
さすが!と思います。

投稿: bikki | 2006.07.06 11:05

bikkiさんこんばんは。このドングリたちですが、けっこう育ってきて嬉しいのですが、この行く末を考えるとちょっと心配でもあります。このままベランダのトロ箱で飼い殺しにするわけには行かないし...ペットを飼うなら最後まで責任を持って飼うというのと似ています。どこかに嫁に出せる場所(植えられる場所)をそろそろ考えているところです。生き物なんですよね、ドングリも。

投稿: はるきょん | 2006.07.06 23:12

はじめまして。キーワード検索でやってまいりましたm(_ _)m
素晴らしい観察力ですね、脱帽っす!!
詳細な記述と比較が、とても面白かったです。
一点、クリは属が違うので、近縁とは言えないかも。シラカシとかのがじつは同属(こちらは常緑樹なのにね)。ま、同じブナ科と言うことで、比較は面白いと思いますよ~。

投稿: 燃海 | 2006.07.06 23:18

燃海さん、こんにちは。楽しんでいただけたようで嬉しいです。クリ、クヌギ、アベマキについてはそっくりの葉ということで定評あるものなので言及いたしました。そういえばシラカシのドングリも昨秋集めたんですよ。一部はコナラ・クヌギと一緒にトロ箱に蒔いたのですが....いままで忘れていました。もちろん、発芽はしていません。森に行けばシラカシの幼木はみられるんでしょうね。今頃は。

投稿: はるきょん | 2006.07.07 15:57

5月の連休に那須に行って1㎝位根と芽がでたどんぐりを拾って鉢植えにして観察開始しています。この先どんな育ち方をするかしらべてたら、はるきょんさんの観察にでくわしました。うちのはちょうど一段目ってやつですかね・・・温暖化対策の切り札になるかもしれないどんぐりの木を育てるってことにワクワクしてます。将来は子供の嫁入りと一緒に持っていかせたいなんて勝手な事も考えてます(庭付きの家に嫁げますように・・)。
一年経ってはるきょんさんちのコナラはどんな姿になってますか?

投稿: SHOTARO | 2008.06.15 10:35

SHOTAROさんこんばんは。古い記事を読んでいただきありがとうございます。コナラもクヌギもベランダで今も元気に育ってますよ。たぶん3年目になるかと思います。昨秋のクヌギ、コナラも加わっていてなかなか賑やかになりました。だいぶほったらかしにしてしまったのでそろそろ現状報告をしようかと思います。

投稿: はるきょん | 2008.06.15 21:02

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