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2006.12.21

空の飛び方

まず一番注意しなければならないのは落下しないことである。これは言わずもがな。万が一落下してしまうと最悪命を落とすことになる。高度や落下地点によっては軽傷で清む場合もあるが、溺死と言うこともありうる。いかに疲れても羽ばたきを休めることなく空に留まらなくてはならない。
次に気をつけるべきは、人に目撃されないようにするということである。あまり空を見上げる人は多くはないが、最近はみなケータイを持っているので興味をもたれてしまうと撮影されてしまうことは必須である。そうなると後が厄介なことになる。なるべくプロフィールの不明な姿で飛ぶことが重要となる。そこで、わざと目立つ特徴をつけることで識別の質を下げさせるという手を使うべきである。つまり、例えば右足首に真っ赤に染色したウサギの尻尾をぶら下げるとか、背中に風船をしこんで膨らませるとか、アラビア語でまくし立てるとか(もちろんそんなことはできないが)、ハングル文字のメッセージを目立たせるとか(これも冗談)。サングラスをつけ、大き目の帽子をかぶり、普段着ないような服で飛ぶべきである。いや、帽子はご法度。空気抵抗が大きすぎるし、第一両手のストロークの邪魔になる。それより、靴は脱げないようなものにしないと飛んでいる最中に脱げてしまうことになるので注意あれ。また、上着は手を振りやすいもの。腕まわりがぶかぶかだと空気抵抗が大きくて十分な浮力が得られないことになるので袖なしのTシャツが適当である。いや、実は着るものとか人に目撃されるなんてことは一切気にしないのが実際のところだ。
さて、肝心の飛び方であるが、自分の場合は「バタフライ方式」である。水泳のバタフライのように両手をぐるぐると前回しにまわし、空気を下に押さえることによって浮力を得るのである。また、同時に両足でドルフィンキックをかますことにより下半身側の浮力を持ち、バランスを取ることが重要である。つまりバタフライそのものである。一番危険なのは飛び立つ瞬間である。両手を振り回しても十分な領域があり、上空に向かって飛んで行くのに十分なスペースのある場所から飛び立つべきである。しかしまずはジャンプし、最初のストロークで体を浮かせなければならない。ここで失敗すると地面に落下することになる。したがって、このリスクを低減させるためにはなるべく高いところから飛び立つのが良いのだが、それは怖い。ものすごく怖い。だから、一番安全なのは、部屋の中から飛び立つ。それも布団の上で飛び立つこと。そうすれば万が一失敗しても布団に落ちるだけなのでダメージは最小となる。だが、そうすると空に出るときのリスクがある。窓を大きく開け、両手がぶつからないようにしておくべきだ。でもそうすると窓を開けっ放しででかっけることになってしまう。が、しかたない。一旦舞い上がるとあとは意外とスムーズだ。行きたい方角に飛べばよい。高く上がりたければ高く高く、上に向かって羽ばたけばいい。夕日に向かってどこまでも飛びたければそうすればいい。ただ、戻ってくることを忘れずに。さあ、空からの眺めは素晴らしい。線路、畑、こんもりした森、住宅地には同じ形の家が規則的に並んでいる。洗濯物が干してある。屋根のすれすれを飛んでみたりする。ただ、テレビアンテナにはご注意。鉄塔がある。高圧電線だ。あれも危ない。電線に引っかからないようにじゅうぶん離れて飛び越す。空高く飛ぶとけっこう怖い。しかし高圧電線にとまるムクドリはバランスの天才だ。あんなところで休めるなんて。ま、もともとトリだし、自分はヒトだし、体の大きさも体重も全然違うのであたりまえか。あ、そうそう。カラスにいたずらされることがあるかもしれないと思っていたのだが、実際のところそんな経験は一度も無い。カラスにとっても気味悪いんだろう。でかいし。
田んぼを超えると畑が広がる。大根だろうか。よくもまぁあんなに、きれいに植えたものだ。もっと乱雑でも良かろうに。地図を思い浮かべる。自分の町から北側に川がある。その向こう側が畑。そして池があって隣町が広がり、やがて海となる。高く飛び、低く飛ぶ。あぁ、飛べるってすばらしい。飛ぶときはいつも天気だ。暖かい春かな。両手をぐるぐる回し体重を支えるのでかなり疲れる。回す速度と呼吸のタイミングを合わせ、最小エネルギーで最適な飛行を心がける。速すぎても遅すぎてもいけない。これは水泳で50m泳ぐときに似ている。ゆっくりでもいいから長く続けて飛びたいのだ。
突然の風にあおられると危険だ。高空で失速すると怖いのでなるべく低めを飛んでしまう自分の臆病さ。さて、ひとしきり飛ぶとやはり疲れる。特に大胸筋と肩のあたり。風に吹かれるので体力の消耗も激しい。適当な止まり場所を見つけたら慎重に着陸しよう。
目立たない場所を選ぶことが安心して休むためのコツ。鎮守の森にある大きな常緑樹は実は止まりにくい。枝先は細くて体重をかけられずバサバサと落ちて大怪我をすることになる。止まるなら太い横枝。だがしかし、太い横枝に直接、安全に到達することはできないのだ。だからそういう場合は神社の屋根がお勧め。こういう場所にはだいたいハトの糞がこびりついていることが多い。考えることはハトも同じということか。とまったら呼吸を整え眺めてきた景色を反芻し、往路の意味を考えよう。なぜここに来てしまったのか。何を見たかったのか。それは見れたのか。悲しかったのか。楽しかったのか。小さいころの自分の姿を確認したかったのか。ここはいったいどこか。目をつぶり、熱い涙をいっぱい流せたら、次の瞬間、すっかり忘れて飛び立とう。縮めた体を一気に伸ばせば大空に飛び立てる。さぁ、うちに帰ろう。明るいうちに。

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日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

コメント

こんばんは。
お忙しいのでしょうか・・・・。
今までのはるきょんさんと違うみたいです。
どうなさいましたか?気になります。
体調は良くなりましたか。
何でもなければ良いのですが。

私も近頃は散歩中など羽ばたく鳥の姿を眺めて
なぜかボンヤリしています。
バタバタしすぎて疲れちゃっているのかしら。

私の方はブログをしばらく休み見直しする事を決めたところですが。
楽しみながら続けていくには一息入れるのもいいかもしれません。
でも私の場合、一息どころか十息くらい入れてますね(笑)。

今日の記事ははるきょんさんの今の心境ですか?
私の大好きな小椋佳の「飛べない蝙蝠」を
何となく思い浮かべました。
長々としたコメント、お許しください。

投稿: bikki | 2006.12.21 22:28

bikkiさん、おはようございます。すみませんね、驚かしてしまったようで。なんでもありませんよ。昔から空を飛ぶ夢をなんども見ているのですが、最近はあまり見なくなりました。そのことをふと思い出したので飛ぶ夢についてちょっと思い出しているうちにキーボードをうってしまいこのような駄文が出来上がったわけです。なんか夢判断とかされると妙な結果が出そうで怖いですが(笑)。空を飛ぶ夢を見たことありませんか?

投稿: はるきょん | 2006.12.22 09:11

はるきょんさん、こんばんは。

私も早とちりと深読みしすぎる癖があって
サラリと読み流せばよいのに、ついつい・・・・(笑)

何回も読み直してみたけど、はるきょんさんの書くものは駄文ではありませんよ。
いつも楽しませてもらってます。

子どものころの原体験が似ているのでしょうか?
空を飛ぶ夢・・・・と言うより、私の場合高い木に登ったり、家の屋根に登ったり、
近くの見晴らしの良い鎮守様のお山の上で遊んだりしていたものですから。
鳥になりたい気持ちはいつも持っています(笑)
空を飛ぶ夢は何を暗示しているんでしょうね?

投稿: bikki | 2006.12.22 22:02

bikkiさん、いつも読んでもらっているようでありがとうございます。自分も読み直してみましたが、ちょっとこっぱずかしいですね(笑)。お許しください。まぁ、でも夢ってのはこんな感じの不条理ですからね。それから「空の飛び方」で検索してみて驚きました。某バンドのCDアルバムと同タイトルでした。いっぱい検索結果が出てきて一瞬びびりました(笑)。

投稿: はるきょん | 2006.12.23 21:05

はるきょんさん、こんにちは。
大掃除第2弾が終わって、一息ついて覗いてみたら...自分も飛ぶ夢を見ますが、どうしても家の天井にぶつかってしまうんです。大空を飛びまわれるはるきょんさんが羨ましいです。せいぜい5m程しか飛び上がれまん。外に出られても、高度5mなんですよね。でもその浮遊感たるや、目覚めて数日しても忘れられません。その数日間は、本当は飛べるんじゃないかって思うほどです。数日も思えてしまう自分が心配ですが(汗)
今度空を飛ぶ夢を見たときは、おもいっきり羽ばたいて5m超えを目指します(笑)

投稿: 小鉄 | 2006.12.24 16:50

おぉ!小鉄さんも飛びますか!同好の士が現れると心強いです(笑)。飛び方にもいろいろあって、手品のように宙に浮くという人もいるようですね。それにしても、久しく飛ぶ夢を見てないのでまた見たいです。強く願うことにします。

投稿: はるきょん | 2006.12.24 20:51

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