小雨模様ながらもなんとか自然観察できる程度の天気だったので、土曜日の朝、鶴見川近くの秘密の小池ポイントに行ってみた。ちなみにこれで9回目。ギンヤンマやマルタンヤンマの羽化殻、あるいは羽化遅れの個体がまだ残ってないかという淡い期待はあった。まず、最初に見つけたのはシオカラトンボの羽化直後個体だった。9時半ごろだった。早朝羽化が完了したのだろう。ギンヤンマの羽化殻などを探し回収しているうちに、シオカラトンボの羽化殻を見つけた。ここから長いひと時が始まった。
0941時 羽化殻発見。と思い、回収しようと手を触れるともぞもぞと動きぎょっとした。これから羽化をする終齢ヤゴだった。ずれた脚の位置を再調整していた。自分が触ったせいで羽化不全にならないか非常に心配。背中がまだ割れてないのがわかる。
0957時 次に見た時にはすでにのけ反り状態。この状態が長く続く。あまりに長いので生きているのか心配になる。触りたいが我慢する。
1024時 腹筋運動のようにして突然起き上がる。生きていた。のけぞり状態は約30分続いた。腹を全部抜きだし後脚の足場を確保する。腹だけが短くて妙に不格好。
1049時 翅が伸び始める。近くに子供が来てひやひやするが知らんふりで通した。
1101時 翅がほぼ広がり透き通ってきた。翅は白い。縁紋も白い。
1208時 腹が伸びきる。寸胴状に太く全体に黄色っぽい白。尾部から水滴が落ちる。
1243時 腹部の形が締まってくる やや色がついてきた
1325時 腹がスリムになる。色が濃くなってきて黄色と黒の模様がはっきりしてくる
1348時 眼を離したすきに翅を開いた。尾部から水滴。
1414時 腹の黒が濃くなってくる。尾部から水滴
1440時 全体にだいぶシオカラトンボっぽくなる。尾部から水滴。撮影した直後、突然羽ばたいて飛んだ。野鳥の巣立ちのようだ。
発見から長い長い5時間だった。無事に飛びたててほっとした。この5時間の間にカルガモやコサギ、アオサギに食われたり、アリに襲われたり、クモに噛まれたり、カエルや魚に食われたり、人間に捕られたり、あるいは風が吹いて落ちたり、雨粒が当たって翅を傷めたり...の可能性があった。何があってもびくとも動けないため、まったく逃げも隠れもできず、何の反撃もできない完全に脆弱な時間帯である。お腹がすいて早く帰りたい気持ちも強かったが、自分が触ったせいで命を落とすことのないように祈るような気持ちだったので最後まで粘って観察することができた。とにかく飛び立てて本当にほっとした。と同時に疲れ果ててしまった。ある意味、たかがシオカラトンボ一頭に5時間も費やすのかという気持ちもあるにはあったが、一つの命の重みとすごさを実感することができたとても貴重な5時間を過ごせたと思う。5月30日、鶴見川近くの小池にて